タイ天然資源環境省公害管理局は、2024年3月18日、拡大生産者責任の原則に基づく「持続可能な包装材管理法案」を公表、意見募集を実施しました。4章53条からなる本法案は、包装材の設計から廃棄の段階に至るライフサイクル全体を通して、資源のリサイクルおよび循環経済の推進を目指すものです。現状、タイにおいて包装材はそのライフステージに応じて異なる法令や省庁が規格や製造プロセス、輸出入等を管理していますが、本法案は、既存のシステムに内在するギャップを埋めるとともに、拡大生産者責任の原則に基づくより領域横断的で持続可能な包装材管理を目指すために策定されました。所管官庁は、天然資源環境省となることが提案されています。

 本法案のポイントは以下の通りです。

  • 持続可能な包装材管理の定義
    本法案において、「持続可能な包装材管理」とは、「リサイクル原料の使用に係る技術開発、循環経済の理念に基づく廃棄物発生量の削減、ならびに環境影響の予防・低減を考慮した原材料の選定、設計、製造、使用、消極的採用、収集、分別、再利用、工業・家庭における分解、エネルギー転換、安全な処理処分をいう」と定義される。
  • 対象となる包装材
     包装材とは、包装や輸送、取り扱い、保護、販売促進、マーケティング、販売のために使用される容器やラップ、その他の材料をいい、ディスポーザブルな包装材のアクセサリを含む。ただし、製品と切り離されて配送され、繰り返し利用される容器や袋、箱等は除く。
  • 拡大生産者責任の責任主体
    持続可能な包装材管理の第一義的な責任主体は、包装材の材料や設計等を選択することができる、包装材使用製品のブランドオーナーである。ケースに応じて、輸入者や包装材製造者も責任対象に含まれる。
  • 必要なアクション
    対象事業者は、単独で又は公害管理局に登録された責任製造者組織(PRO:Producer Responsibility Organization)に参加して、持続可能な包装材管理計画を策定する。同計画においては、収集および再利用に係る年度別の目標を設定する。加えて、収集や再利用に係る取り組みを実施し、目標に未達の場合には環境ファンドに資金供与しなければならない。