タイ工業省工業事業局(DIW)は、2022年1月10日、PRTR制度(汚染物質排出移動量登録制度)の実施に向けた最新のドラフト2件を発表、意見募集を実施しました。PRTRとはPollutant Release and Transfer Register(化学物質排出移動量届出制度)の頭文字であり、有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握し、集計、公表する仕組みです。日本では1999年、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(化管法)により制度化されました。一方、タイにはまだPRTR制度がなく、現状、化学物質の移動や環境への排出状況を把握する包括的な仕組みがありません。そこで、10年以上前からJICAの協力のもとで、タイでもPRTR制度の構築に向けた取り組みが進められています。
2011年より実施されていたパイロットプロジェクトでの制度と比較し、最新のドラフトでは、「水銀および水銀化合物」の追加により規制対象物質が計108物質(群)となったほか、規制対象業種も7業種から19業種に拡大する内容となっています。